食糧危機

2010年 6月 02日 [なんでもコラム]

サウジアラビアは原油高で蓄えた利益で、海外の農地を確保し小麦や大豆を栽培する計画を立てている。
リビアがウクライナに10万haの土地を借り上げ、自国向けの小麦生産を始めたそうです。
世界は食料の確保に真剣に動いています。

「今の時代、自分の土地を所有している人は幸運です。大地は食料を生み出してくれますし、食料の生産は何よりも重要です。その価値と役割はますます大きくなるでしょう。古代文明は食料の生産システムの欠陥と食料生産に失敗したゆえに滅亡した歴史を忘れてはならないのです。」アースポリシー研究所所長 レスター・ブラウン(食料問題をいち早く世界に向けて警鐘を鳴らした)

 日本では、ここ50年で農業従事者がに減り、現在は農業経営の悪化で、後継者が育たない状況が続いています。
今の政治に恐怖を感じます。生産者を無視した価格競争が続き過ぎました。

 

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[農民も土も水も悲惨な中国農業]という本がは朝日新書から出版されてます。高橋五郎氏(愛知大学現代中国学部教授)が書かれたものです。
高橋氏が日経ビジネスで「悲鳴を上げる中国農業」としておっしゃっている内容を紹介します。

僕の出発点は日本の食生活があまりにひどいことから始まっているんです。現代の食生活は「おふくろの味」ではなく、加工食品を中心とした「袋の味」が幅を利かせています。ただ、食品の加工度が高くなればなるほど、原材料は見えにくくなり、食品の安全性にかかわるリスクは大きく広がる。

 こうした加工食品の多くは中国産の原料を使用し、中国で製造しています。じゃあ、中国に多くを依存している野菜や果物の生産現場はどのようになっているのか。食料自給率が落ち込んでいる今、中国農業の現場を見なければ、食生活の崩壊や自給率改善について何も言うことができない。そう考えたことがそもそもの動機でした。
北の方は河川灌漑が少なく、ため池が多いのですが、そのため池がかなり汚れていますね。現場に行くと驚きますが、ため池全体をアオコが覆っており、水が全く見えない。そこに、ホースを突っ込んで、ポンプで揚水し、畑に水をまいている。その水は、本当に悲惨なものですよ。
中国の農村はほとんど浄化設備がありません。そのため、油、石鹸、洗剤、雨水、し尿などが一気にため池に行ってしまう。アオコが繁茂しているのはため池の富栄養化が甚だしいため。悪臭もすさまじい。そういう水を畑にまいているんですよ。
雑草でも何でもそうですが、植物は水があれば育つ。ただし、食べ物として相応しいかどうかは別問題ですよ。まあ、水がないからしょうがないんですわ。地下水でさえ量が減っていますからね。本来であれば、浄化槽に行くべき水をためて使う、という状況にならざるを得ない。

川自体が汚れている。

本当に真っ黒ですよ。

本当ですよ。すさまじい臭いですよ。
慣れとは恐ろしいものですね。汚染でいうと、長江もひどいものですよ。上海の河口に行くと、ゴミだらけ。上流から流れてきたゴミがたまっている。
農地所有制度が私有ではなく、公有、あるいは国有のためでしょう。私有制度であれば、所有者は農地に対して継続的な投資を行う。投資をすれば、生産量の増加という見返りが入ってくるわけですからね。ところが、公有ないしは国有だと、農地に誰も投資をしなくなる。その結果、農地は荒れていく
このように、農民が農地に愛着を持たない中国は農地が荒れていく条件を持っている。そこにきて、人糞肥料をまくため、さらに土が荒れる。
雑菌を殺すために農薬をまく。そうすると、土地が荒れるので、化学肥料が必要になる。すると、ますます土地は荒れていく。生産量に影響が出るので人糞をまく。そして、土は汚れていく。
農薬の使い方を知らない農民も少なくない。文字が読めない人も多いですし、メガネを持っていない農民もいる。農薬のビンには使用方法が書かれているんですが、読めないために、目分量でかけてしまう。農薬は劇薬ですから、目分量でやっちゃうと大変なんですよ。
確かに、農作物の安全性やそれを作る農民の幸せを考えると、疑問が残りますね。中国の水や土は疲弊している。
野菜など日本は多くの農作物を輸入しています。安心安全の面で中国産の農作物輸入は大きく落ち込んでいますが、加工食品などの形で日本に輸入されています。もはや中国は生鮮や冷凍、加工など広い意味で日本の食料庫になっている。今の日本の食卓はリスクの高い農業を前提に成り立っている。そのことを忘れるべきではないでしょう。

高橋氏は文中で「僕は中国が嫌いでは決してありません」とおっしゃってます。保障制度の面等からも中国農民の先行きを心配し、それに食料を依存している日本の食糧事情に警鐘を鳴らしておられるのだと思います。

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